日替わりの日々

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おおかみこどもの雨と雪 感想   ①この映画の一番の「新しさ」

更新が遅くなってすいません。

院試があったのをすっかり忘れていました。

 

以下、感想文です。

ネタバレは今回はないのでご安心を。

 

 

おおかみこどもの雨と雪。あらすじとかはhttp://www.ookamikodomo.jp/index.htmlを。

 

 

非常に、「良い」映画でした。

細田監督の作品の中では一番「良い」映画だったと思います。 

そして、斬新でした。

 

今回は、この「良い」について書く前に、

この映画の持つ斬新さ、異常さについて書こうと思います。

 

まず、最初の方の日記でも言っていますが、僕は面白いものが大好きです。

楽しいものも大好きです。

でも、この映画が「面白い」「楽しい」映画だとは、あまり思いません。

とくに凝ったストーリー展開もないし、ただの家族の話。

つまんない人にはほんとにつまんないと思う。

でも、僕は素晴らしい映画だったと思います。

サマーウォーズより断然好きです。

ここがややこしいところ。

でもこのややこしさが、

「良い」映画である理由だとおもいます。

 

僕の今までの細田監督作品が結構好きで、 

時をかける少女」では脚本のうまさに、

サマーウォーズ」では作品全体のエンターテイメントっぷりに感動してました。

 

ただ、サマーウォーズの「田舎楽しいぜ!!親戚すごいぜ!!」的なテンションの高さが、僕には少ししんどかった。

なんつうか、メッセージ性の出し方が結構単純で、

エンタメとしてはいい感じなんだけど、日常的な部分とのバランスのとり方があんまりよくなかったかなぁ、という感想でした。

 

だから、今回の地味な設定をみて、

「そっちの方向をおしてくるのかー、

エンタメ的なストーリーの面白さを削っちゃうんだろうなぁ、

残念。」

というのが見る前のイメージ。もともとは見る気もあんまりなかった。

実は、見終わった後でも、この印象は変わってないです。

 

でも。

代わりにすごく「良い」ものにあふれていたと思います。

細田さんがエンタメ要素を削ったのは、大成功だったのだと思います。

それが僕にはすごい心地よくて、好き。

 

じゃあ面白さを捨てて何が出てきたのか。

ここです、大事なのは。

 

いろいろ考えた結果

答えはすごいシンプルになりました。

「花という女性を丁寧に描く」

ただそれだけです。

この映画は、ただそれだけの話といっていいとおもいます。

これが「良い」んです。

 

エンタメ的なストーリーの面白さとかをいったん捨てて、

一人の女性をきちんと、しっかりと描く。

 

細田監督は、それに徹したんだと思います。

今回は、作品としてはただそれだけで、メッセージ性や面白さなどは、本質的なところでは用意されていないように思います。

あとは見る人(なんなら細田監督自身も)に感想をゆだねたのだと思います。

 

だから、何回も言うけど、

おもしろくない人にはほんとにおもしろくない作品だと思う(笑) 

しかも、評論をすごくしづらい。

だって、最低の言い方をすれば、

監督が

「おもしろくなくったっていい、一人の人間を描いてるだけなんだから」

っていうことも可能なわけですから。

 

僕が一番思うのは、

「よくこれを3年かけて作ろうと思ったなぁ」というのが

本当にすごい。

こんな面白そうな設定でもないし、楽しいキャラクターも出てきそうにない。

暗く地味にしようと思えばいくらでもできるこの企画が、

よく通ったなぁ、と思います。

 

「花という女性が母親になる過程を丁寧に書けば、

 二時間のアニメ映画になる!!」

と細田監督が思ったんですから。

 

そこに、僕は一番感動しています。

ただの女性が母親になる過程を描けば、

伏線や、ストーリーの盛り上がりなどのわかりやすいエンタメ要素を排除しても、

「面白さ」「楽しさ」を捨てても、

素晴らしい作品になるんだ。

このことをつきつけられたからです。

 

こういったメッセージを細田監督にぶつけられた感じがします。

今まで、「面白」「楽しさ」を求めてきた自分にとっては衝撃的でした。

 

こんなアニメ映画は今までなかったんじゃなかろうか。

戦闘シーンやどんでん返しもない。

恋を描いているわけでもない。

 

僕は今まで映画をあんまり見てこなかったけど。

邦画にはこういう映画はあるんですかね?

見終わった印象は、「昔の邦画みたい」でした。昔の邦画見たことないけど。

 

 

つまりは、

今まで見たことがないタイプの映画でした。

だからすごい興味深かった。

 

でも、なぜ、この「平凡な」映画を2時間も見れたんでしょう。

なぜ「良い」につながるのか。

それは明日以降、書こうと思います。

 

今日はここまで!!